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奥穂高岳に登る(7)【エピローグ】 [登山]

 今回の山行は、変な台風のせいで、ずいぶんと天気を気にした。雨の中の岩稜歩きは、滑りやすくて危険なので避けたいと思っていたが、その反面、ここまで来て撤退するのはもったいないという気持ちも、ちょっとは頭の中にあった。やっぱり憧れの山を目前にして、登頂を諦めるというのは、非常に辛いものがある。楽で安全な方向に転換するのだから、労力の面から見たら本来簡単なはずなのだが、もともと登るために来ているわけだから気持ちがついていかないというのが普通の人の感覚だろう。
 
 でも、自分にはこういうときに割り切れるだけの強烈な経験がある。今から5年前、2012年のことだった。姉と燕岳から表銀座を経由して槍ヶ岳に登る計画を立てた。しかしこのときは雨や落雷がひどく、槍の穂先に登るのを諦めて下山したのだった。我々が下山したまさにその日、滑落事故があった。落ちたのは東京から来て北穂高岳に登っていた68歳の女性。同年代の女性3人のパーティで、この人は最後尾を歩いていた。170ⅿ下まで滑落し脳挫傷で死亡。

これを聞いて、いろんなことを考えた。
・槍と穂高は隣同士だ。きっと同じような天気だったろう。
・我々は撤退したが彼女たちはしなかった。我々だって強行していたら、同じように事故を起こしたかもしれない。
・彼女たちだって葛藤があったはずだ。「行くか。退くか。宿でもう一泊して様子をみるか」
・「今年登らなければ、また来年だ。年齢を考えるとやっぱり今年中に・・交通費もかかるし・・」
・最後尾を歩いていた女性は、前の二人の動きに気をとられて、手元や足元への注意力が散漫になっていたのではないか。

・・・同じ日に同じように迷ったであろう人たちである。他人事に思えなかった。自分の経験ではないけれども、自分が経験したのと同じくらい強いショックを受けた。だからこそ雨の予報が出たら、潔く撤退しようと思ったし、経験豊富な二人の先輩も同意してくれた。結局今回は、最後にちょっと降られたものの、かなり低いところまで降りていたから大きな問題はなかったし、一番晴れて欲しかった8月7日の午前中は最高の好天に恵まれた。成功だったと思う。楽しかった。

下の写真は、穂高岳山荘で買った手ぬぐい。
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同じく穂高岳山荘で買った、奥穂のバッジ。
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こちらは岳沢小屋で買った前穂のバッジ。
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(おわり)

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