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懐かしの電気回路発掘 [ラヂオ]

 千葉の実家に、昔僕が使っていた書棚がある。下の方に、小物を入れる引き出しがあって、これが永い間、「開かずの引き出し」になっていた。あの引き出しには何が入っているんだろう。気になってはいたが、「変なものが出て来たら嫌だな」と思って、なんとなく敬遠し続け、もう30年近く経ってしまった。

 確か一昨年の夏休みだったと思う、帰省したときに、この引き出しを「開けてみよう」と唐突に思い立った。書棚の重みで上の板が少したわんでいて、開けにくくなっていたが、その板を力任せに持ち上げてみたら開いた。引き出しの中から出てきたものは、3枚の電気回路基板だった。
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 懐かしい。大学のときに授業で習った、サイリスタを使った電力制御の回路で、実習で作ったものだった。ひとり1枚しか作らなかったのに自分のところに3枚あったのは、たぶん友達からもらったのだと思う。「何かの役に立つかも」とでも思ったのだろう。
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 よく見ると、3枚ともそれぞれ部品がどこか外れていて、皆そのままでは使えない状態になっている。当時、何かをしようとしていじったのかもしれないのだが全く記憶がない。これをなんとしてもレストアし、ついでに勉強したくなった。こういうときはチャンスである。
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 しかし、一つ問題があった。時代の流れで使われなくなった部品が一つ載っている。名前をユニジャンクショントランジスタ(略称UJT、型番は2SH21)という。サイリスタのゲートにかけるトリガーパルスを作る素子で、今では、この部品は生産されていない。トリガーをかける方式(技術)が30年の間に変わってしまったのである。
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 現在使われていないから、使い方を調べようにも最近の本には載っていない。だから1980年代に発行されたパワーエレクトロニクスの古本をネットで探して買ってみた。そしたら、「どうやらこれだな」という回路が見つかった。3枚の基板をよく観察して、足りない部品を補ったら、だいたいその回路になった。

 UJTについては、いろいろ思うところがあるから、それは別の機会にまた書きたい。とにかく、このたびレストアが完成したのが下の写真。ボリュームを回すと電力を調節できる。負荷には赤い電球をつないでみた。
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↓電力が最大のとき。明るさ最大になる。(カメラが自動で光量を調節してしまうから、なかなかわかりやすい写真が撮れないけど)
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↓電力を絞るとフィラメントの形がかろうじてわかる程度にぎりぎりまで光を絞れる。
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 大学時代に、この回路は理解できなかったが、今なら9割方わかる。残りの1割は何かというとUJTのパルス発振を実験で調べていないこと。これが終わればバッチリである。自分の技術もそれなりに進歩しているんだな、としみじみ感慨に耽ってしまった。

*****
【蛇足】
 すでに書いたように、この回路で使われているUJTと言う部品はもう生産されていない。回路の技術が変遷して別の部品が使われるようになっている。UJTの使い方がわからないからと言って、それを今の時代に改めて調べようという人は少数派だと思う。僕がそれを敢えてやったのは、やっぱりノスタルジアだった。

 ラジオ少年時代に愛読していた月刊誌「模型とラジオ」に初心者向けの電子工作の記事が連載されていた。僕は特に泉弘志さんの「エレクトロニクスバラックシリーズ*」というのが好きで、たまに小遣いで部品を買って組んで遊んだものだった。そのシリーズにUJTがしばしば使われていたのである。

 初心者向けだから部品点数は少ないが、電子回路であることに変わりはない。どの回路にも、重要なエッセンスが含まれている。しかも興味を引きやすく優しい解説である。小中学生のエンジニアの卵のためにこういう記事を書く仕事は、大人のエンジニアのためにセミナーを開くのと同じくらい大切で、大変な仕事だと思う。泉弘志さんの偉大さを改めて思う。若い頃の感動は忘れないのだ。

* エレクトロニクスバラックシリーズ: かまぼこ板の上に回路を組むバラック建てのような電子工作。子供のお小遣いでも楽しめるようによく考えられた工作シリーズだった。

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