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極軸ファインダー設計ノート(3) [天文]

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このシリーズでは、天体望遠鏡の赤道儀式架台の極軸合わせに用いる、いわゆる「極軸ファインダー」の設計方法を考えています。
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(前回からの続き)
 以下は、本でよく見かける、望遠鏡の仕組みの一般論である。

「対物レンズの焦点距離のところに紙を置けば、そこに像が結ばれているのが見える。この紙をすりガラスに置き換えてみると、像は対物レンズの反対側からも見える。その像を虫めがねで拡大すれば、大きく見える。その後、そのすりガラスを取り去ってしまえば、さらによく見える」・・・(一般論)

 下の図で、焦点距離のところに結んだ木の像は、そのままフィルムに焼き付ければフィルムカメラになるし、撮像素子で記録すればデジカメになる。ではフィルムや撮像素子の代わりにすりガラスを置いて、それを図の右側から見てみようという話である。

01.jpg

 たしかに、木の像は見えるだろう。それを虫めがねで拡大すれば、それも大きく見えるだろう。ここまではわかる。では、その状態から、すりガラスの位置を焦点距離からわずかにずれたところにずらしたらどうなるのか。すりガラスに映るのはピンボケ画像のはずである。ならば、虫めがねで拡大するのは、ピンボケ画像になってしまうのか。(ひぐらしの疑問1)

 上記の一般論にはもうひとつ奇妙に思えるところがある。すりガラスを置いて像が見えるようになるのは、すりガラスに光を散乱させる働きがあるからであろう。それならば、すりガラスを取り除いてしまったら、光が散乱しなくなるから何も見えなくなってしまうのではないだろうか。(ひぐらしの疑問2)

 つまり上記の一般論では、すりガラスは便宜上、仮に導入した概念であり、「それを取り除いても同じである」という結論を導きたいのに、これら2つの疑問が解決できないので、議論が落としたいところに落ちないのである。そういうわけで、僕は、この説明にはどうしても納得がいかなかった。しかし、だからと言って他の説明ができるわけでもなく、ここからずっと先に進めなかったのである。

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 僕が今読んでいる「屈折望遠鏡光学入門」という本に、面白いことが書いてあった。

 「天体望遠鏡は接眼レンズがなくても、対物レンズだけで望遠鏡になる。ためしに覗いてみよう」というもの。これが、上記の疑問の解消に結びつくかどうかは定かではなかったが、簡単にできることなので、とにかくやってみることにした。

 僕のマンションの南側の数百m先に大きな病院があり、その建物の壁に緑十字のマークがある。
02.jpg

 これに望遠鏡を向けてみた。すると、たしかに接眼レンズをつけないのに、望遠鏡の奥に緑十字がはっきり見える。ためしに自分のかけているメガネをとってみると一層よく見える。そこで、「あれ?」と思った。僕の目はもともとド近眼なのだが、最近では老眼が混じってしまい、目のピントは15㎝~18㎝という非常に狭い範囲でしか合わないのである。要するに、僕の目で「見える」ということは、15㎝~18㎝の位置に実物があることと同じ現象が起こっているのだ。

 だとしたら、その像と同じ位置に何かを置いたら、一緒にピントが合って見えるということではないか。ためしに定規を置いてみた。下はこれを写真に写したもの。緑十字が望遠鏡のレンズの向こうにはっきり見えている。定規の目盛もはっきり見えている。この写真はマクロレンズを使用して撮影しているからピントの範囲は非常に狭い。同時にピントが合っていることが、緑十字の像と定規が、ぴったり同じ位置にあることの証明である。(緑十字と定規以外のものはすべてピンボケである)
03.jpg

 ためしに、この緑十字をこの天体望遠鏡で直焦点撮影して、十字の部分のピクセル数を調べたら517 [pixel] だった。これを長さに換算すると2.59㎜になった。上の写真で緑十字と定規の大きさを比較すると、だいたい2.5㎜くらいになっていて一致している。
04.jpg

(つづく)


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