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安房直子「雪窓(ゆきまど)」 [読書]

 ひさびさに童話を読んで感動してしまった。タイトルは「雪窓(ゆきまど)」という。
作者は児童文学者の安房直子さん。1973年の作品である。
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 写真を見てわかると思うが、これは絵本である。なぜこれを買ったかというと、別の絵本を見る機会がたまたまあって、イラストレーターの山本孝さんの絵に惚れ込んでしまったのである。この人が挿絵を描いている絵本をネットで検索したところ、リストの中にこの「雪窓」があった。書評を読んで、なんだかそそるものがあったので、アマゾンで買ってみた。

 いや~~。良かったよ~~。最初のところだけストーリーを紹介してみる。山のふもとの村に、「雪窓」というおでん屋の屋台をひくおやじがいた。ある晩、一人の若い娘が屋台にやってきた。  ・・・

***
 ・・・もっと書きたいのだが、我慢してここでやめておこう。とは言うものの、自分が感動した本は、みんなに薦めたいので、この本の中で一番印象的だったところを、ちょっとだけ抜粋したい。おやじさんが10年前を回想する場面である。熱を出した6歳の娘をおんぶして、峠を越えて医者の家へ連れて行くが、着いたときはもう冷たくなっていた。
 
【本文抜粋】
 そのとき、おやじさんは、本気でこう思いました。いまとおってきた道の、いったいどこで、美代のたましいは、とんでしまったんだろうと。いますぐひきかえしたら、峠のあたりで、しくしく泣いている美代のたましいをとりもどせるのじゃないだろうかと。十年たったいまでも、おやじさんはやっぱりそう思うのでした。

***

 ああ切ない。ひとりひとりに人生がある。抱えている過去がある。悲しみがある。生きていれば16歳の娘がいるおやじさんなら、僕とだいたい同年代ではないか。可愛い盛りの6歳で娘を亡くした悲しみは、10年経ってもなかなか癒えることはないだろう。お話なんだから、どんな設定でもできると言えばそれまでだが、ここまで感情移入してしまうのは、物語が生きている証拠である。プロの力には恐れ入る。子供用の絵本で、おやじの人生に共感するとは思わなかった。

 たぬきがおでん屋の助手になったり、山の中で天狗や子鬼が出てきたりと、童話らしいエピソードもたくさんある。最後は暖かい、ほのぼのとしたハッピーエンド。ストーリー良し、イラスト良し、純粋な子供の心に深く刻まれそうな一冊だと思った。大人にも是非薦めたいと思う。
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